…ざあざあと降り続ける雨が、教会の地下まで届いている。
雨音に混じって階上で流れているサキソフォンの旋律が、カノンの耳にしっとりと鈍く纏わりつく。
夜半から雷雨に変わった明け方の寒さも、睦合う二人の身体を芯から冷やすことは出来ない。
Lの吐息とカノンの嬌声は、燭台の灯をかき消すように暗がりを貫いていた。

『も…う、こんなの耐えられないわ。私どうしたらいいのか分からない!お願いよL。』
『辛いですか?私は貴女と繋がれないほうが、よほど苦しいのですが。』

いまLの躯は病魔に蝕まれているのに、こんなふうに命を削るような真似をしないで欲しい。
でも私は、彼に求められたら拒めない。
背中から彼女を抱き込んでいた、Lの漆黒の瞳が近づいてきた。

『ふむ。いいでしょう、但し。』

ただし?キョトンと首を傾げたカノンの、可愛いらしい横顔を見るのがLはとても好きだった。

『そう言い出すと思い、この躯の変わりに貴女を抱く相手を選んであります。』

カツカツと足音が回廊を抜け近づいてくるのと、カノンがその意味を…そして相手を理解したのは同時だった。






『…メロ!どうして貴方がここに!!』

石畳の上でアーチ型の扉に片手をかけ、軽くもたれた彼はひどく扇情的だった。
艶やかな金髪が滴るほど濡れて、射るような目でこちらを見ている。

カノンは茫然と怯えた視線を向けながら、毛布を手繰り寄せて身体を隠した。
フンと鼻を鳴らし口角を上げたメロが、獲物を狙う猫のように素早く目前に迫り口を開く。

『言っておくが。もう俺を子供だと思う必要はないぜシスター。』

覗き込むように屈んだメロの片手が腰骨から離れた。
その手に握られた冷たいチョコで鎖骨の下の毛布をグイと引き下ろされる。
カノンははずみで後ろに倒れ、温かいLの胸の中におさまった。
Lが柔らかく包むように抱いて、耳元で低く囁く。

『途中まで彼にも手伝っていただきます。カノンをイかせるのは私。それなら負担が少ないでしょう?』

そんなおかしな話ってないわよ…L。
やはり気づいていたのね。あなたと出会う前、メロに惹かれていたこと。
彼も私に興味があった。恋とはけして呼べない想い出。
なぜなの?私はもう貴方のものなのに。

『!』

Lが彼女の手首を掴み、優しくだがガッチリと後ろに回した。毛布が滑り落ち、露わになった胸をまたチョコレートが襲う。

『俺好みに…甘くなれ、シスター。』

乳房をぐるりと一周して先端を押されると、溶けたチョコのように過去の記憶が雨垂れに重なった。
そしてLの其れとは違う尖った猫みたいな舌が、あの頃の視線を再現しながらカノンを辿ってゆく。


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