本編1



女装アイドルYKB。
最近ちょっとアレな感じのシルバー層から、赤マルジャンプ!急上昇グループ。

彼らは新人の癖に専用レッスンルームを持っているVIPである。

今日も明け方から、独りダンスレッスンを続けるミハエル‥通称メロンの息遣いが響いていた。

「はぁっ!‥っクショー‥なんで‥」

慣れぬ新人だとか、ダンスは苦手分野とか、言い訳はできないしするつもりも毛頭無い。

次の闘い‥彼の所属するチームBと、超えるべき先輩の居るチームKとの「新曲ゲット・バレンタインダンスバトル」は目前なのだ。

突然バーンと大きな音がして扉が開いた。

(アイツ!モノは大切に扱え、とあれほど‥)

ミハエルが睨みつけるよりも一瞬速く、同期のマイル‥通称マッ子がガンくれていた。

「早ぇなメロンちゃんwコソ練したってテクニックは急に上がんねよ?」

「うるさい!ムダ口きくヒマあんならお前も練習しろ」

マイルはドカッとソファに座り、ニヤニヤしながら煙草に火を点けた。

「此処は禁煙だと何回言えば!」

最初の一服を堪能した彼は点けたばかりの煙草をもみ消して立ち上がり、タオルを握りしめるミハエルに近づいた。

「な‥オレらが勝つポテンシャル、もっと上げてやろっか?」

キョトンとしたミハエルをグイと抱きしめると、

「こうすんだよ」

いきなり深く口づけた。

「んっ‥何す‥オイ止め‥」

「オマエさ‥マジメすぎて色気が足りねんだわw」

「どけ!‥あ‥」

「んーんw退かない」

(なんつーベタな展開だ、チクショウ!)

息苦しさにもがいたミハエルの長い爪が、マイルの長いピアスを掠めた。クロス部分が床に落ちる。


「痛ッ‥メロンちゃん‥いつも黒ネイル綺麗ネ」

眉をしかめついでにウインクしたマイルを、ミハエルは心配そうに見上げた。

「クロスが‥すまない。耳とアタマは大丈夫か?」

「ああどっちもダイジョブ。それよかオレの密かな戒めをトバしてくれちゃって‥コッチがダイジョバねンだけど」

「!」

マイルはミハエルの手首を掴み、股間に押し付けていた。

「手を伸ばせば触れるよ?」

「離せ!馬鹿とじゃれてるヒマねんだよ!」

「だからさっきから言ってんじゃんよ。色気だしゃ勝てるかも、って‥」

ほんの僅か抵抗を緩めたミハエルに、逃すワケなく追い討ちをかけるマイル。

「オマエがオレを意識してんのは分かってンだよ‥」

耳もとで囁きながら、左手のみのグローブを脱ぎ捨てた。

(ウソ‥マッ子人前で絶対外さないのに。片平なぎ‥じゃね‥義手って噂はデマだったのか!な、なんだアレは!指輪に目玉型モニターついてるーw)

ミハエルが驚いている隙にスカートをたくしあげ、レエスのすきゃんてぃに手をかけた。

「‥ちょwメロンちゃ‥」

(モニタ開始します♪WIN)

「言うな!」

「なんでサポーターしてないの?」

(WIN♪WIーN♪)

「言うな!」

「コレでダンスなんて‥つかポロリもあるよ的な‥ぐは!」

タマを強く握られて悶絶したマイルが、それでも手首を掴んだまましゃがみ込んだ。

「‥うー‥ヒドいわ」

赤く染まった顔を背けたメロンが聞き取れぬほどの声で呟いた。

「ワイPに‥同じ事言われたんだ。‥色気足んねー‥て」

更に小さくなる声。

「『玉ブラ(タマがブラブラ)していてもアイドルで居られますかな?試してご覧なさゐ‥ホホッ!』って‥」

「オマエ‥ソレまに受けたのか‥」

「仕方ないだろっ!ワイPが‥んっ」

「真性アホの子なんだな‥ホント‥可愛いぜ」

「マッ子!‥も‥よせ!たぶんマリア様‥じゃね、ワイPが見てる‥」

「誰が見てたっていいさ‥」



(2に続く)


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